小原古邨

小原古邨(1877~1945)

まだ印刷や写真技術が普及していなかった江戸時代、浮世絵版画は娯楽の一つとして、大衆の間で楽しまれていました。
 
都市を中心に役者絵、美人画、名所絵などの多彩な作品が制作され、その流れの中で花鳥版画も一つのジャンルとして存在していました。明治後期に登場した古邨の花鳥版画は華やかな色彩と近代的な写実表現で新たな版画に生まれ変わり、西洋でも広く受け入れらました。
 
古邨の作品は東洋絵画と西洋絵画の衣をまとわせた花鳥版画というジャンルによって実践化した新しい日本画でした。
 
彼の描写からは、身近な風景を愛した彼の柔らかな眼差しを感じるとることができます。月や雨や雪などの季節の背景と共に花や植物、自然な動きの鳥や小動物が描かれていて、澄んだ空や清らかな水、雨の冷たさや、雪の降る日の静けさ、それら全てが心地よかった100年前の時代の残像が伝わってくる様です。
 
古邨は600種以上の花鳥版画を創作し、海外で飛ぶように売れました。]

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