吉田博
吉田博 (1876 ~1950)
吉田博はアメリカで認められた壮大な自然描写で知られる画家です。
吉田の作品の魅力は自然に溶け込み一体となって描く彼の姿勢と真摯な取り組みからくる自然美溢れる表現です。
彼は山を描く時、雄大な自然の一瞬の美をとらえようと、高山渓谷に数ヶ月の間、山籠りしてその瞬間を待ちました。
それは自然と一体となってこそ人を感動させる風景画が描けるのだとする彼の強い信念でした。
旅をして風景を描き、また山籠りして山岳の壮大な自然を描く理由は、素晴らしい自然の場所に行くことができない人々に絵を通して体験してほしいという彼の愛ゆえでした。
博の後半生は250種類に及ぶ木版画の創作でした。
彼は自分が描く油絵と同質の木版画を求め、その写実性を基盤にした、30版の多色摺、迫力ある大判、同じ板木による色替え摺り、などの類例のない新しい木版画を創造しました。
日本の古い伝統の木版画に洋画の視点を導入して新しいシステムと技術の高さを示した吉田の作品はダイアナ妃や、夏目漱石、フロイトなど、多くの著名人を魅了し、今でも世界的な人気を博しています。
また吉田博は自分が研究した木版画技術の全てを後の世代のために手引書にして残しました。