
和紙について試行錯誤の日々。
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〜和紙についての試行錯誤〜
和紙の可能性は無限にありそう!
日本の伝統の素晴らしい技術が詰まった和紙を
現代においても ”もっと活躍してほしい”
”この技術が絶えないで欲しい”
私は和紙を知ってからそう思うようになりました。
今回はこれから和紙を使って創作する方の一つに情報になればと
私の体験を書いてみることにしました。
ハイカラ美術館の作品のほとんどは和紙にプリントされています。
なぜ、洋紙でなく和紙を選んだかというと、
日本の絵画は元々絹や和紙に描かれていたからです。
木版画は和紙に刷られているのですから再現するには当然、
和紙でした。
まず手掛かりとして
ネットでいろんな産地の和紙を
”買っては刷る”を繰り返しました。
製造会社によってはいろんな種類の入ったサンプルパックが売っています。
私は大量の紙とインクを消費しながら、
作品に合わせた紙を選ぶことがとても重要である
と分かったのです。
和紙の表面はそれぞれの特徴を持っています。
ざらざらしていたり、滑らかだったり。
筋が深く入っていたり、筋がなかったり。
柔らかさ、色味も違います。
それに加え、
その時々の原料の状態によっても色も状態も
大きく変わることも知りました。
プリントしてみると
「同じ絵でも紙でこんなに変わるの?」
と驚くほど出来上がりの雰囲気が違います。
私は絵の美しい状態を目指してたくさんの種類で比較しました。
手漉きの写真用プリント和紙など高価なものも試しました。
全てを試せるわけではないけれど、
”もうこれで十分”
と思うくらいはやってみました。
ある会社に何度か同じ和紙を注文しました。
注文するたびに色や厚みの状態が違っているのです。
私は前の刷り上がりと同じ状態にしたいと思い、
「前回と厚みや色が違っています。前と同じものが欲しいのですが?」
と製造会社に問い合わせました。
すると画像を送るように言われました。
比較した写真を送ると、
社長から職人さんへ、私の指摘が伝わりました。
その翌日には職人さんが倉庫の全ての和紙を調べて
同じ色と状態のものを選び出してくれました。
倉庫全部を調べるという大変なお仕事をさせてしましました。
日本の職人さんの仕事への態度は想像以上のものでした。
最後に社長が私に説明してくれました。
「自然環境や気候変動で
コウゾの質が低下しているために
以前のようにいい和紙ができないことを
職人さんも気にしていて、
ある種類の和紙については
製造中止にするべきかどうか?
職人さんと常に問題になりますが
妥協しなければ続けられない、
そう説明してくれました。
私は職人さんが一番気にしていることを言ってしまった。
申し訳なかった。と思いましたが
職人さんの真剣さ、ご苦労が分かって良かった。
そう感じました。
長い年月の仕事の中での様々な思いがあり
その真剣さと取り組みが
和紙の美しさに表れています。
私なりの理解に近づけたことは
選ぶにあたって大切なことでした。
-また続く